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2008年 05月 14日
山口の旅の最終日は、念願の香月泰男美術館に行きました。 数年前にシベリアシリーズの回顧展を見てから、彼が「私の地球」と呼んだ、ふるさと三隅町を一度訪れてみたいと思っていました。 日本海側の町ですが、海岸線からは低い丘に隔てられて海辺の町という感じではなく、 初夏の陽がふりそそいで、新緑の山に囲まれた三隅町は穏やかなすてきな所でした。 中庭には、香月さんが制作の合い間に作っていた、おもちゃのレプリカ(拡大版)が置かれていて、子供を遊ばせるのにちょうどよい空間になっていました。 香月さんは、戦後、シベリア抑留を経験しておられて、その体験を描いたシベリアシリーズが代表作と言われています。 私も回顧展でその作品に接して感動を覚え、復員後、終生暮らし制作を続けた場所にいつか行ってみたいと思っていたのでした。 だけど、シベリアシリーズは山口県立美術館に寄贈されていて、そちらでは夏に常設の企画展をやるようですが、ここにはシベリアシリーズの原画と、それ以外の油彩、素描、版画、おもちゃ、手紙などの一切がたくさん所蔵されているのです。 行って、ほんとによかったです。 身の回りの風景やものを描いた油彩の小品や、戦地から家族宛に送った手紙<ハイラル通信>やおもちゃ、どれもいい。 後年、海外によく出かけて描かれた版画やスケッチのなんと色鮮やかで明るくて美しいこと。 シベリアシリーズは、おおむね黒の世界だけど、対照的なようでいて、シベリアの黒の存在があってこそ、輝く色の美しさなのかもしれません。 今年の三月に出たばかりの版画の画集を買って帰りました。 香月泰男美術館 ※いまは三隅町ではなく、市町村合併によって長門市三隅となっています。
by sibaniwa
| 2008-05-14 22:58
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